
GUIDE / 秘密保持契約
秘密保持契約(NDA)とは。
結ぶタイミングと、
主な条項。
既製品ではなく、御社のやり方に合わせて1から作る、自社専用のシステム(スクラッチ開発)です。
提携や共同開発の話を深める前に、まず結ぶのが秘密保持契約です。何を決める契約なのかを、経済産業省の資料にある参考例をもとに整理します。
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01 — Answer
秘密保持契約(NDA)とは
秘密保持契約とは、取引や協議の中で相手から受け取った秘密の情報を、決めた目的以外に使わないこと、相手の承諾なく第三者に開示しないことを約束する契約です。英語のNon-Disclosure Agreementを略してNDAとも呼ばれます。経済産業省の「秘密情報の保護ハンドブック」(2016年2月策定、最終改訂2024年2月)は、取引先に秘密情報を開示する際には事前に秘密保持契約を結ぶことが有効だとし、参考資料に業務提携や業務委託の事前検討、交渉の段階で使う秘密保持契約書の例を載せています。マッチングで出会った相手と踏み込んだ話をする前や、共同開発に入る前に結ぶのが一般的です。なお、この記事は一般的な説明で、個別の契約についての法律相談ではありません。
02 — Point
秘密保持契約を結ぶタイミング
秘密保持契約は、相手に見せる情報の重さが変わる手前で結びます。最初の面談で会社の紹介をする程度なら不要なことも多いのですが、次の場面では結んでから進めるのが一般的です。
特許庁と経済産業省が公開しているオープンイノベーションのためのモデル契約書の解説は、話し合いを始める前に、自社の情報を少なくとも「秘密保持契約なしで出せる情報」「契約を結んだ後に出せる情報」「どんな状況でも出さない情報」の三つに分けておくよう勧めています。契約を結んだからといって、何でも見せてよいわけではありません。
- マッチングの後、具体的な条件を話すとき顧客の数や価格の考え方、事業の計画など、社外に出していない数字を見せる前。
- 業務提携や協業を検討するとき互いの業務の流れや仕組みを見せ合い、役割の分け方を話し合う前。
- 共同開発やシステム開発を依頼するとき技術の資料や、業務の手順、システムに入れるデータの見本を渡す前。
- 試作品やサンプルを渡すとき物そのものから技術が読み取れる場合。分解や解析をしないことも取り決めます。
03 — Detail
秘密保持契約の主な条項
経済産業省のハンドブックの参考資料2「第4 業務提携・業務委託等の事前検討・交渉段階における秘密保持契約書の例」は、次の条項で組み立てられています。条項の中身は個別の事情に応じて変えることが前提です。
このほか、特許庁などのモデル契約書には、試作品の分解や解析を禁じるリバースエンジニアリングの禁止、違反したときの差止めといった条項も載っています。
| 条項 | 決めること |
|---|---|
| 目的 | 何を検討するために情報をやりとりするのか。秘密情報はこの目的の範囲でしか使えない |
| 秘密情報の定義 | 開示の際に秘密と明示した技術上や営業上の情報など。開示時に既に持っていた情報、第三者から正当に得た情報、独自に生み出した情報、既に公知の情報、後から自分の落ち度なく公知になった情報は対象外とする |
| 口頭で伝えた情報の扱い | 秘密と伝えたうえで、後日、書面で内容を通知した場合に秘密情報とみなす、など |
| 取扱いと目的外使用の禁止 | 管理する人を決め、目的以外に使わない。複製は目的の範囲内に限り、漏えいのおそれがあればすぐ知らせる |
| 第三者への開示 | 書面による事前の承諾が要る。法令で開示を求められたときは事前に相手に通知する |
| 返還と消去 | 不要になったとき、または求められたときに返す。データは消去し、その旨を書面で報告する |
| 損害賠償 | 違反したときに、必要な措置をとり、生じた損害を賠償する |
| 有効期限、協議、管轄 | 契約の期間と自動更新の有無、定めのない事項の扱い、争いになったときの裁判所 |
04 — Know-how
片務契約と双務契約の違い
秘密保持契約には、片方だけが秘密を守る義務を負う形と、双方が義務を負う形があります。前者を片務型、後者を双務型と呼ぶことがあります。
片務型は、情報を出すのが一方だけの場合に使われます。たとえば、システムの開発を依頼する会社が、業務の資料を開発会社に渡す場合です。双務型は、互いに情報を見せ合う場合に使われ、業務提携や共同開発の検討ではこちらが多くなります。経済産業省の参考例も、甲と乙のどちらから開示した情報にも同じ義務が及ぶ双務型です。
注意したいのは、相手から渡されたひな形が片務型で、自社が守られる側になっていないケースです。こちらも情報を出す予定があるなら、双務型への修正を求めます。また、開示する側と受け取る側では、目的を狭く書きたいか広く書きたいかで利害が分かれます。特許庁のモデル契約書の解説は、目的の書き方しだいで、防ぎたい使われ方を目的外として止められなくなるおそれがあると注意を促しています。
05 — Check
秘密保持契約の注意点
契約書を結ぶこと自体より、日々の扱いのほうが情報を守る力は大きいものです。結ぶ前後で、次の点を確かめます。
- 目的を具体的に書く「〇〇の共同開発について検討するため」のように、何の検討かが分かる書き方にします。
- 渡した情報を記録するいつ、何を、どの方法で渡したかを一覧に残します。経済産業省の参考例にも、開示した情報を別紙で一覧にする形が載っています。
- 検討していること自体の扱いを決める提携の検討の事実そのものを秘密に含めるかどうか。ハンドブックは、含める場合の期間は自動更新をせず6か月から2年程度が一般的だとしています。
- 社内の管理を先に整える営業秘密として法律の保護を受けるには、秘密として管理されていること、事業に有用であること、公然と知られていないことの三つを満たす必要があります。
- 専門家に確認する重要な取引では、弁護士などの専門家に契約書を見てもらいます。
06 — More
マッチングや共創と秘密保持契約
新しい事業を立ち上げるとき、自社だけで考えるか、パートナーと組むかで、秘密保持契約の出番は大きく変わります。今の事業の柱が1本だけでは、時代の変化に対応しきれなくなるおそれがあり、新しい柱を考える企業は増えています。異業種や専門外の分野を1社だけで考えるより、パートナーやアライアンス企業と共同するほうが、スピードと費用を抑えて始められます。その入口で、互いの情報を安心して出し合うための道具が秘密保持契約です。
日本カーネットは、自動車業界の企業やサービスと新しいサービスを始めたい企業さまをつなぐ共創・企業マッチングに取り組んでいます。事業のアイデアや社内の情報を伺う前に、必要に応じて秘密保持の取り決めを結んでから進めます。
FAQ
秘密保持契約(NDA)とはのよくある質問
秘密保持契約とNDAは同じものですか?
同じものです。NDAは英語のNon-Disclosure Agreementの略で、日本語では秘密保持契約や守秘義務契約と呼ばれます。
秘密保持契約は必ず書面で結ぶ必要がありますか?
口頭でも約束はできますが、何が秘密で、何に使ってよいかを後から証明するのは難しくなります。書面や電子契約で残すのが一般的です。
秘密保持契約を結んだ後に、相手が情報を漏らしたらどうなりますか?
契約に定めた損害賠償などを求めることになります。ただし、漏れた後に取り戻すのは難しいため、出す情報を必要な分に絞り、渡した記録を残しておくことが現実的な守り方です。
秘密保持契約の有効期間はどのくらいですか?
取引の内容によって決めます。経済産業省の参考例は、契約の締結日から一定の年数とし、期間満了前に申し出がなければ同じ条件で更新する形になっています。
相手のひな形をそのまま使っても大丈夫ですか?
片務型か双務型か、目的の書き方、秘密情報の範囲、期間を確かめてから使ってください。自社に不利な点があれば、修正を求めて構いません。
システムの開発を頼むときも秘密保持契約は必要ですか?
業務の手順やお客さまのデータの見本を渡す場合は、結んでから進めるのが安心です。日本カーネットでも、必要に応じて秘密保持の取り決めを結んでから打ち合わせを進めます。
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Sources
出典
秘密情報の保護ハンドブック~企業価値向上に向けて~(経済産業省、平成28年2月、最終改訂 令和6年2月):https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/trade-secret.html
同ハンドブック 本文・参考資料(PDF):https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/handbook/full.pdf
オープンイノベーションポータルサイト モデル契約書 秘密保持契約書(逐条解説つき)(経済産業省 特許庁):https://www.jpo.go.jp/support/general/open-innovation-portal/document/index/himitsuhoji_chikujouari.pdf
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