
GUIDE / 要件定義とは
要件定義とは。
発注者がやることと、
漏れやすい要件。
既製品ではなく、御社のやり方に合わせて1から作る、自社専用のシステム(スクラッチ開発)です。
システム開発で一番大事な工程と言われる要件定義。整備工場や販売店が、ITの専門家でなくても進められるやり方を、自動車業界の例で説明します。
SCROLL
01 — Answer
要件定義とは
要件定義とは、これから作るシステムが「何をするか」「何をしないか」を、発注者と開発会社で話し合って決め、文書に残す工程です。誰が、どの場面で、どの画面を使い、どんなデータを入れて、何が出てくるかを一つずつ決めます。たとえば整備工場の予約システムなら、予約を受ける入口(電話、店頭、Web)、押さえる対象(リフト、整備士、代車)、キャンセルの決まり、前日のお知らせの方法などです。要件定義で決めた内容が、その後の見積、設計、動作テストの基準になります。ここで漏れた要件はテストの段階や使い始めてから見つかり、直す手間が大きくなるため、発注者側が自社の仕事を一番よく知る立場として加わることが大切です。
02 — Point
要件定義で発注者がやること
要件定義は開発会社が進行役を務めますが、中身を知っているのは発注者です。整備工場や販売店の側では、次のことを受け持ちます。専門用語で書く必要はなく、現場の言葉で十分です。主な役割は6つです。
- 目的を一文にする「車検の案内漏れをなくしたい」「部署ごとの二重入力をやめたい」など、作る理由を一文で言えるようにします。
- 今の仕事の流れを見せる受付から請求までの流れと、使っている帳票、Excel、紙のメモを集めます。
- 例外を挙げるいつもと違う処理をする場面を、思いつく限り書き出します。要件の漏れは例外から出ます。
- 使う人を決める画面を使う人、見るだけの人、承認する人を分けます。
- 優先順位を付ける最初の版に入れるものと、後から足してよいものを分けます。
- 決める人を一人置く現場の意見が割れたときに決める担当者を、社内で一人決めておきます。
03 — Detail
業務フローの書き出し方
要件定義の材料として一番役に立つのが、今の業務フローです。きれいな図にする必要はありません。紙に箇条書きでも、ホワイトボードの写真でも伝わります。手順は5つです。
書き終えたら、実際にその仕事をしている人に読んでもらいます。抜けている手順は、たいていそこで見つかります。「この場合は店長に電話して決める」といった一言も、システムにとっては大事な要件です。
- 始まりと終わりを決める「お客さまから電話が来る」から「入金を確かめる」まで、どこからどこまでを書くかを決めます。
- 人ごとに分けて書く受付、整備士、事務、店長など、誰が何をするかを行に分けて書きます。
- 使う物を書き添えるその時に見ている帳票、画面、Excelのファイル名を横に書きます。
- 待ちと手戻りに印を付ける部品の入荷待ち、お客さまの承諾待ち、書き直しが起きる場所に印を付けます。
- 困っている所を書く時間がかかる所、間違いが起きる所に、実際にあった出来事を一言添えます。
04 — Know-how
自動車業界でよく漏れる要件の例
自動車業界の仕事は、法令や制度で決まった周期や期限と結びついています。普段は頭の中で処理しているため、要件定義の場で言葉に出てこないことがよくあります。次のような項目は、最初に確かめておきます。どれも、後から足すと手間が大きい項目です。
車検の受検期間:2025年4月1日から、車検は有効期間の満了日の2か月前から受けても、残りの有効期間が失われなくなりました(それまでは1か月前から)。車検の案内や予約の仕組みでは、この期間を前提に時期を組みます。
電子車検証の満了日:自動車検査証は2023年1月から電子化され(軽自動車は2024年1月から)、有効期間の満了日は券面に載らずICタグに記録されます。紙の車検証を見て台帳に写す運用を前提にすると、満了日が入らなくなります。車検証閲覧アプリで読み取った情報をどう取り込むかを要件に入れておきます。
1人のお客さまに複数の車:家族や法人のお客さまは複数台を持っています。お客さまと車を1対1で作ると、後から直すのが大変です。
名義と使用者の違い:所有者と使用者が違う車、リースの車、法人の社用車では、請求先と連絡先が分かれます。
代車と預かり物:代車の貸出、預かりタイヤ、預かった鍵など、作業そのもの以外に追いかける物があります。
締めと集計の切り口:月末の締め日、店舗別や担当者別の集計など、経営者が見たい数字の形を最初に伝えておきます。
05 — Check
要件定義をうまく進めるコツ
要件定義の打ち合わせでは、開発会社から「この場合はどうしますか」と何度も聞かれます。その場で決められないことは、持ち帰って現場に確かめても構いません。分からないまま「たぶん大丈夫」と答えるより、確かめてから答えるほうが、後の手戻りが減ります。
全部を最初に決めきる必要はありません。迷う所は、最初の版では手で処理すると決めておく方法もあります。使い始めてから、本当に要るかを見て足せば十分です。
決めたことは、打ち合わせのたびに文書で確かめます。言った、言わないの行き違いを防ぐためです。短いメモで構いません。画面のイメージは、手書きの絵や今使っているExcelの画面でも伝わります。
日本カーネットのスクラッチ開発では、お打ち合わせで課題やご要望をうかがい、その内容をもとにシステムのご提案とお見積りを出します。打ち合わせはリモートで行うので、現場の画面や帳票をその場で見せていただきながら進められます。欲しいシステム診断を使うと、打ち合わせの前に要望のメモを作れます。
FAQ
要件定義とはのよくある質問
要件定義は発注者がやるものですか、開発会社がやるものですか?
両方で行います。進め方や文書のまとめは開発会社が受け持ち、仕事の中身や優先順位を決めるのは発注者です。発注者が加わらないと、現場の実感とずれたシステムになりやすくなります。
要件定義書は発注者が書かないといけませんか?
書く必要はありません。発注者は今の仕事の流れ、帳票、困っている場面を伝え、開発会社がまとめた内容を確かめます。
要件定義の前に準備しておくものはありますか?
今使っている帳票やExcelのファイル、業務の流れのメモ、困っている場面の具体例があると話が早く進みます。分からない項目があっても構いません。
要件定義のあとで要望を変えられますか?
変えられますが、設計や開発が進むほど直す範囲が広がります。変えたい点が出たら、早めに開発会社へ伝えて、影響を確かめてから決めます。
要件定義と見積はどちらが先ですか?
要件がある程度決まらないと、正確な見積は出せません。最初の打ち合わせで課題と要望をうかがい、その内容をもとに提案と見積を出し、契約後の設計の段階で細部を詰めていく流れが一般的です。
Related
あわせて読みたい
Sources
出典
国土交通省 報道発表資料「来年4月より、車検を受けられる期間が延びます」:https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha02_hh_000645.html
国土交通省 電子車検証特設サイト「電子車検証について」:https://www.denshishakensho-portal.mlit.go.jp/user/about/
国土交通省「自動車検査証の電子化」概要資料:https://www.mlit.go.jp/jidosha/kensatoroku/kensa/denshika_tesuryo.pdf
スクラッチ開発(日本カーネット):https://www.j-carnet.co.jp/scratch
DIAGNOSIS
迷ったら、欲しいシステム診断
何を作りたいか、まだ言葉にできていなくても大丈夫です。8つの質問に答えると、合いそうなシステムと相談用の要望メモができあがります。
CONTACT
要件がまとまっていなくても、
相談から始められます。
今の仕事の流れと困っている場面を、現場の言葉で聞かせてください。
電話受付:平日 9:00〜12:00/13:00〜18:00